ライトノベル 鉄コミュニケイション2 レビュー

タイトル 鉄コミュニケイション2 チェスゲーム
著者 秋山瑞人
原作 たくま朋正/かとうひでお
イラスト たくま朋正
出版 電撃
発売日 1999年3月


執筆者:jade 評価:
───あの気持ちは、絶対、誰にもわからないと思う。ハルカになりたい、って思った。
───ルークの心の中に住んでいる、あの人間の女の子になりたい、って思った。


イーヴァと仲直りするために企画されたキャンプで起きたルークの暴走。この出来事がきっかけで街を出ることを決意したイーヴァとルーク。しかしキャンプからの帰路の途中、ナイトとビショップの突然の襲撃によりイーヴァが攫われ…
というのがあらすじ。

緊急事態に直面してイーヴァの嘘偽りのない本心とハルカが長年抱いてきたコンプレックスがようやく明かされます。
ハルカになりたかったイーヴァとイーヴァになりたかったハルカ。お互いの置かれた環境による求めるものの違いからお互いがお互いを羨み、それによって生み出されたイーヴァのハルカに対する盲目的な嫉妬とハルカのイーヴァに対する盲目的な信頼という歪な関係が涙を誘います(´Д⊂
特にロボットに対する劣等感がハルカとイーヴァをはじめとするロボットたちとの埋められない溝となっていたことをハルカが理解するシーンがこの物語最大の見せ場であり、作者が一番描きたかった場面だと個人的には思っています。

それからイーヴァがナイトに決死の説得を試みた場面も良かったです。
本能の部分では寂しくて温もりを求めていたのに自分の中のプライドがそれを認めず、誰も傷つかずに済む選択肢を放棄し、結局戦いへと身を投じることになるナイト。この辺りに戦士の悲哀が感じられ、グッときました(´Д⊂

その後に繰り広げられるルークとナイトの死闘はあくまでもおまけ。もちろん戦闘描写には特に問題はなかったんですがその前後のキャラの心理描写が素晴らしすぎて特に印象に残らなかったんですよね。

結末はほぼ予想通り。予定調和と言えますがそれでも心に響きました。ただ個人的には1シーン前で終わらせた方が綺麗だったかなと思います。ちょうど「イリヤの空、UFOの夏」のラストと対を成すような感じでしたしね。
それでも評価はSを付けざるを得ないほど良い作品だったと思います。


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